「都立中高一貫校」という選択肢が、お子様の中学受験において魅力的に映るご家庭は多いのではないでしょうか。
しかし、その魅力の裏には、知っておくべきこと、準備すべきこと、そして親子で向き合うべき課題も少なくありません。
勢いで受検準備を始めてしまい、「こんなはずではなかった…」と後悔することは避けたいものです。
この記事の執筆時点で、私自身は娘が都立中高一貫校を目指し始めて、まだたったの3か月目です。
今後どうなるか分かりませんが、まずは親が都立中高一貫受検を十分理解することが大切だと考え様々なことを調べています。
また、我が家で実際に取り組んだことや今後も意識したいことを、都立受検を検討されている親御さんに共有できたらと考えこの記事をまとめました。
- 都立中高一貫校の基本的なことが分からない
- 各学校の名称、所在地、教育理念が知りたい
- 都立中高一貫校と私立中高一貫校、地元公立中学⇒高校の違いを比較したい
- 都立中高一貫校受検の特徴や受検倍率が気になる
- 都立中学一貫校のメリット・デメリットを理解したい
- 受検にかかる費用面が心配・・・
- 受検をする上でやるべきことを確認したい
以上に当てはまる方にとって、「先に知っておいて良かった!」と思ってもらえる内容にと努めました。
今後、新たに気づきがあった場合は、随時加筆や修正をしていく予定です。
後悔しない都立中高一貫校受検にするために、ぜひこの記事を参考にしてみて下さい。
それでは参りましょう。
都立中高一貫校の概要

都立中高一貫校とは
まずは、都立中高一貫校がどのような学校なのか、基本的な情報から確認していきましょう。
都立中高一貫校は、中学校と高等学校の6年間を接続し、一貫した教育方針のもとで生徒の個性や創造性を伸ばすことを目的とした公立の学校です。
その大きな特徴は、高校受験を経ずに6年間を同じ環境で学べる点にあります。これにより、生徒は受験勉強に中断されることなく、探求活動や部活動、学校行事などにじっくりと取り組むことができます。
また、多くの学校が「リーダー育成」を掲げており、特色ある教育プログラムを展開しています。
都立中高一貫校には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
- 中等教育学校: 6年間を一体のものとして教育を行う学校です。卒業時には高等学校卒業資格が得られます。
- 併設型中学校・高等学校: 既存の都立高等学校に附属中学校を設置した形の学校です。中学校と高等学校を接続し、中学校卒業後は原則として併設の高等学校に進学します。
重要な点として、これらいずれのタイプの都立中高一貫校も、基本的には中学校入学時の選抜によって生徒を募集し、高等学校段階での新たな一般募集は行っていません(併設型は以前まで高校募集がありました)。
そのため、入学した生徒は原則として6年間を同じ仲間と過ごすことになります。
東京都の公立中高一貫校の一覧
東京都には、都立中高一貫校10校と区立の中高一貫校1校あります。
それぞれ特色の異なる複数の中高一貫校が設置されています。
以下に一覧を掲載し、各学校の理念などをまとめました。
学校名 | 区分 | 所在地 | 理念、教育目標 |
---|---|---|---|
白鷗(はくおう)高等学校・附属中学校 | 併設型 | 台東区 | 「開拓精神」 社会でリーダーとして活躍できる、チャレンジ精神溢れる生徒の育成 |
両国高等学校・附属中学校 | 併設型 | 墨田区 | 「自律自修」 真理と正義を愛し、高い志と使命感を持つ人材を育成 |
武蔵(むさし)高等学校・附属中学校 | 併設型 | 武蔵野市 | 「豊かな知性と感性」「健康な心と体」「向上進取の精神」 国際社会に貢献できる知性豊かなリーダーを育成 |
富士高等学校・附属中学校 | 併設型 | 中野区 | 「自主自律」「文武両道」 自己の限界(高嶺)に挑戦できる人間「富士山型の人間」を育成 |
大泉(おおいずみ)高等学校・附属中学校 | 併設型 | 練馬区 | 「自主」「自律」「創造」 高い倫理観とあくなき探求心を兼ね備えた国際社会のリーダー |
小石川(こいしかわ)中等教育学校 | 中等教育学校 | 文京区 | 「立志・開拓・創作」 自ら志を立て、自分が進む道を自ら切り拓き、新しい文化を創り出すことのできる人材の育成 |
桜修館(おうしゅうかん)中等教育学校 | 中等教育学校 | 目黒区 | 「高い知性」「広い視野」「強い意志」 「真理の探究」を極め、困難な課題に主体的に取り組み、粘り強く解決できる人材の育成 |
立川国際中等教育学校 | 中等教育学校 | 立川市 | 「国際社会で貢献できるリーダーとなるために必要な学業を修め、人格を陶冶する」 |
南多摩(みなみたま)中等教育学校 | 中等教育学校 | 八王子市 | 「人間力の南多摩ー心・知・体の調和」 イノベーティブなグローバル人材の育成 |
三鷹中等教育学校 | 中等教育学校 | 三鷹市 | 「胸は祖国に置き、眼は世界に注ぐ」 思いやり・人間愛をもった社会的リーダーを育成 |
(参考) 九段中等教育学校 | 中等教育学校(区立) | 千代田区 | 「豊かな心」「知の創造」「未来貢献」 リーダーとして創造的・意欲的に行動できる資質や能力を育成 |
注記:九段中等教育学校は設置者が区であり、応募資格等が都立と異なります。
都立中高一貫校の入試の特徴
都立に限らず公立中高一貫校の入試は、私立中学の入試とは大きく異なる特徴があります。
その大きな特徴が、入学試験ではなく「適性検査」と呼ばれるものです。
適性検査では国語・算数・理科・社会といった教科別の「学力試験」ではなく、教科横断的な問題が出題されます。
また適性検査に加えて、小学校からの報告書や県によっては面接によって入学者が選考されます。
- 適性検査: 国語・算数・理科・社会といった教科別の学力試験ではなく、教科横断的な問題が出題されます。
- 作文: 課題文を読み、自分の考えや経験を論理的に記述する力が求められます。
- 資料の読み取り・分析: グラフや表、図などの資料から情報を正確に読み取り、分析・考察する力が試されます。
- 数的処理・論理的思考: パズル的な問題や、与えられた条件を整理して答えを導き出す問題などが出題されます。
- 理科的・社会的な分野の知識を活用した思考問題: 単なる知識の暗記ではなく、知識を応用して課題を解決する力が問われます。
- 報告書(調査書): 小学校の成績(主に5・6年生)が点数化され、合否判定に利用されます。教科の成績だけでなく、特別活動や行動の記録なども評価の対象となる場合があります。
知識の量だけでなく、思考力、判断力、表現力といった「生きる力」が重視される入試と言えるでしょう。
都立中高一貫校受検では適性検査Ⅰ(文章読解および作文)、適性検査Ⅱ(算数、社会、理科)、また学校によっては適性検査Ⅲ(理系問題)とがあります。
また、各学校の「独自作成問題」と共通で出題される「共同作成問題」とがあるのも特徴です(区立九段中等は全て独自問題となっています)。
受験者数と受検倍率(2025年)
2025年度の都立中高一貫校の受検者数と倍率は、以下の表の通りです。(東京都教育委員会発表の一般枠募集の最終応募状況および受検状況に基づきます。)
学校名 | 募集人数 | 応募者数 | 受検者数 | 受検倍率 |
---|---|---|---|---|
小石川中等教育学校 | 160名 | 551名 | 501名 | 3.13倍 |
武蔵高等学校附属中学校 | 160名 | 381名 | 364名 | 2.28倍 |
両国高等学校附属中学校 | 160名 | 608名 | 583名 | 3.64倍 |
桜修館中等教育学校 | 160名 | 612名 | 568名 | 3.55倍 |
富士高等学校附属中学校 | 160名 | 526名 | 508名 | 3.18倍 |
大泉高等学校附属中学校 | 160名 | 590名 | 563名 | 3.52倍 |
南多摩中等教育学校 | 160名 | 599名 | 586名 | 3.66倍 |
立川国際中等教育学校 | 130名 | 431名 | 416名 | 3.20倍 |
三鷹中等教育学校 | 160名 | 706名 | 683名 | 4.27倍 |
白鷗高等学校附属中学校 | 168名 | 640名 | 616名 | 3.67倍 |
合計 | 1,569名 | 5,644名 | 5,359名 | 平均 3.41倍 |
2025年度(令和7年度)の都立中高一貫校の一般枠募集における受検状況は、全体的に前年度に比べてやや応募者数・受検者数が減少し、倍率も落ち着く傾向が見られました(応募倍率 4.03→3.60、受検倍率 3.82⇒3.41)。
これは、都立高校での男女別定員廃止に伴い、中高一貫校でも2025年度入試から男女別定員が廃止されたことや、私立中学との併願が増加していることなどが影響していると考えられています
また、私立高校無償化の影響もあるかもしれません。
しかし、依然として人気は高く、厳しい競争であることに変わりはありません。
注記:上記は一般枠募集の数値です。
応募倍率は2025年1月21日時点の最終応募状況、受検倍率は2025年2月3日時点の受検状況に基づきます。実際の合格者数は、募集人員と厳密に一致するとは限りません。
最新かつ詳細な情報は、必ず東京都教育委員会の公式発表をご確認ください。
都立・私立・一般的な公立コースの比較
お子様の進路を考える上で、それぞれの選択肢を比較検討することは非常に大切です。
以下に都立中高一貫校と私立中高一貫校、および地元の公立中学から公立高校に進んだ場合の比較を一覧表にまとめました。
項目 | 都立中高一貫校 | 私立中学校 | 一般的な公立中学校(→高校受験) |
---|---|---|---|
教育期間 | 6年間の一貫教育 | 6年間の一貫教育(多くの学校) | 3年間(中学)+3年間(高校) |
高校受験の有無 | なし | なし(多くの学校) | あり |
学費 | 公立のため比較的安価(教材費、積立金等は別途必要) | 学校により大きく異なる(高額な場合が多い) | 公立のため安価 |
教育方針 | 学校ごとに特色ある教育、探究活動重視 | 建学の精神に基づく独自の教育方針、多様なコース設定 | 学習指導要領に基づき、地域の実情に応じた教育 |
カリキュラム | 先取り学習や独自の科目を設定する学校が多い | 先取り学習、大学受験を見据えたカリキュラムが一般的 | 学習指導要領に準拠 |
入学選抜 | 適性検査、報告書 | 教科別の学力試験(国算理社)、面接など多様 | 中学時なし(学区制) 高校受験時に学力検査と内申点 |
進学実績 | 近年、難関大学への進学実績が伸びている学校も多い | 学校により様々、伝統的に進学実績の高い学校が多い | 高校のレベルにより大きく異なる |
施設・設備 | 充実している学校が多いが、私立ほどではない場合も | 非常に充実している学校が多い | 標準的な設備 |
通学範囲 | 原則として都内在住 | 全国から(寮がある学校あり) | 原則として学区内 |
雰囲気 | 知的好奇心の高い生徒が集まりやすい | 学校のカラーが明確で、多様な生徒が集まる | 地域に根ざし、様々なバックグラウンドの生徒が集まる |
この比較はあくまで一般的な傾向です。個々の学校によって詳細は異なりますので、必ず各学校の情報を直接ご確認ください。
都立中高一貫校のメリット・デメリット

どのような選択にも、メリットとデメリットが存在します。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、両側面をしっかりと理解しておきましょう。
メリット
- 高校受験がないことによる時間的・精神的余裕:6年間を見通した計画的な学習や、部活動、探求活動、趣味などにじっくりと打ち込める時間が生まれます。思春期の多感な時期に、受験勉強に追われることなく過ごせるのは大きなメリットです。
- 質の高い教育環境と仲間:
- 熱心で指導力の高い教員陣による、特色ある教育プログラムが期待できます。
- 同じ目標を持つ意識の高い仲間と切磋琢磨できる環境は、学習意欲の向上や人間的成長に繋がります。
- 学費の負担が比較的少ない: 私立中学校と比較して、授業料などの経済的負担が大幅に軽減されます。
- 探究学習の充実: 多くの学校で、課題発見・解決能力やプレゼンテーション能力を育む探究活動に力を入れています。これは大学入試改革で重視される能力とも合致しています。
- 大学進学実績: 一部の都立中高一貫校は、難関大学への高い進学実績を誇っています。6年間の一貫したカリキュラムや、早期からの進路指導が成果に繋がっていると考えられます。
デメリット
- 受検対策の特殊性と負担:
- 適性検査は小学校の教科書範囲からしか出題されませんが、独特な出題形式のため、専門の対策が必要となります。多くの場合、小学校の授業だけでは対応が難しいのが現状です。そのため、通塾や家庭学習の負担が親子ともに大きくなる傾向があります。
- 「塾なしで合格」というケースも稀にありますが、多くは小学4年生頃から対策を始めるなど、早期からの準備が求めらるいけんもあります。
- しかし、通塾したからといって必ずしも合格率が上がるという訳でもないのが難しい点です。
- 不合格だった場合の精神的影響:
- 親子で長期間努力してきた結果、残念ながら不合格となることもあります。その際の子供の精神的な落ち込みや、親の精神的な負担は想像以上に大きいものです。「もし受検していなかったら…」という後悔に繋がる可能性も否定できません。
- 地元の公立中学に進むことになった場合、気持ちの切り替えが難しいケースもあります。
- 入学後の学習進度の速さと課題の多さ:
- 合格後も安心はできません。多くの場合、授業の進度は速く、課題の量も多い傾向にあります。入学後に勉強についていくのが大変で、「こんなに大変だとは思わなかった」と感じる生徒や保護者もいます。
- 深海魚(学習についていけず下位層に沈んでしまう生徒)になってしまうリスクも考慮に入れる必要があります。
- 環境が合わなかった場合の転校の難しさ:
- 6年間同じ環境で過ごし、かつ高校からの新規募集が原則ないため、万が一、校風や人間関係が合わなかった場合、途中で環境を変えることが難しい場合があります。
- 「やっぱり地元の公立が良かった」と思っても、後戻りがしにくい点はデメリットと言えるでしょう。
- 6年間固定された人間関係: メリットである一方、多様な価値観に触れる機会が限定的になる可能性や、一度こじれた人間関係が長く続くリスクも考えられます。
これらのデメリットを事前に理解し、それでも挑戦する価値があるのか、親子でじっくり話し合うことが「後悔」を避けるための第一歩です。
受検にかかる主な費用

都立中高一貫校受検には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。主なものをまとめました。
受検費用
入学検定料: 都立学校の場合、2,200円(令和7年度入学者選抜)。
これは比較的安価と言えます。
受検対策にかかる費用
受検にかかる費用として大部分を占めるのは、受検対策にかかる部分でしょう。
ざっくりとした費用を以下の通り見積もりました。
- 塾の費用:
- 集団指導塾: 都立中高一貫校受検コースがある大手進学塾の場合、小学5年生で年間40万円~70万円程度、小学6年生になると年間60万円~100万円以上かかることもあります。また、特別講習(夏期、冬季、直前講習など)も別途かかることがあります。
- 個別指導塾: 集団塾よりも高額になる傾向があり、コマ数や指導内容によって大きく変動します。月額数万円~十数万円程度が目安です。
- 通信教育: 月額数千円~1万円程度で受講できるものもありますが、家庭での徹底した管理と子供の自主性が求められます。
- 模試代: 1回あたり数千円~1万円程度の模試を、年間数回受けるのが一般的です。
- 教材費:
- 過去問題集:各校数年分で数千円程度。
- 問題集・参考書:塾の教材とは別に、家庭学習用に購入する場合、数万円程度かかることもあります。
- その他:
- 学校説明会やオープンスクールへの交通費など
総額としては、小学4年生から対策を始めた場合、3年間で100万円~300万円以上かかるケースも珍しくありません。 これはあくまで目安であり、通う塾や受講する講座、家庭学習の方針によって大きく変わります。
家計への負担も考慮し、無理のない資金計画を立てることが重要です。
挑戦する上でやるべきこと7選

都立中高一貫校受検に挑戦すると決めたら、後悔しないために親子でしっかりと取り組むべきことがあります。
我が家は受検の挑戦を決める前から多くのことを取り組んできました。
経験談については当ブログの受検日記にも記していますので、そちらも参考にしてみて下さい。
1. 都立中高一貫校受検に対する適性度の確認
まず最も重要なのは、お子様自身が都立中高一貫校の教育や適性検査に向いているかを冷静に見極めることです。
- 知的好奇心や探求心が旺盛か: 「なぜ?どうして?」と物事の本質を考えることが好きか。
- 文章を読んだり書いたりすることが苦にならないか: 適性検査では長文読解や記述問題が多いため、読解力・表現力は必須です。
- 粘り強く課題に取り組めるか: 難しい問題にも諦めずに挑戦できるか。
- 自己管理能力がある程度あるか: 膨大な学習量を計画的にこなしていく必要があります。
- 集団生活への適応力: 6年間同じ仲間と過ごすことになります。
親の期待だけで突っ走るのではなく、お子様の個性や特性を客観的に見て、本当にこの道が合っているのかを考えることが、後々の「後悔」を防ぐ上で非常に大切です。
2. 家族会議で親子の意思疎通
受検は親子の二人三脚ですが、主役はあくまでお子様です。
- お子様本人の意思確認: 「本当にこの学校に行きたいのか」「なぜ行きたいのか」をじっくり話し合いましょう。親の希望を押し付けるのではなく、お子様の気持ちを尊重することが大前提です。
- 親の期待と子供の希望のすり合わせ: 親が都立中高一貫校に何を期待しているのか、お子様自身はどうしたいのか、お互いの考えを共有し、理解し合うことが重要です。
- 受検生活の厳しさ、合格後の生活について共通認識を持つ: 受検勉強は決して楽ではありません。また、合格後もハイレベルな学習が待っています。その厳しさを親子で共有し、それでも挑戦したいという覚悟があるかを確認しましょう。
- うまくいかなかった場合のことも話し合っておく: 不合格だった場合に、どうするのか。地元の公立中学に進むことのメリットや、そこでの目標なども話し合っておくと、万が一の際のショックを和らげることができます。
定期的な家族会議の場を設け、進捗状況や悩み、不安などをオープンに話し合える環境を作りましょう。
3. 都立中高一貫校受検の情報収集
正確で最新の情報を集めることは、適切な判断と対策の基本です。
- 現在の中学受験の全体像を知る:都立中高一貫校受検と私立受験の違いはざっくりと理解しておくと良いです。
- 各学校の教育方針、特色、校風の徹底調査: ホームページ、パンフレットだけでなく、進学実績、在校生の雰囲気、通学時間なども含めて多角的に調べましょう。
- 入試情報の詳細な把握:
- 過去の適性検査の問題傾向(出題形式、分野、難易度など)を分析する。
- 報告書の評価方法や配点を確認する。
- 最新の募集要項を必ず確認する。
- 塾や教材の情報収集と比較検討: お子様に合った塾や教材を選ぶことが合格への近道です。複数の選択肢を比較検討しましょう。
- 在校生や卒業生の保護者の声を聞く(可能であれば): 実際の学校生活や受検体験談は非常に参考になります。
情報過多になりすぎないよう注意しつつ、信頼できる情報源から必要な情報を効率的に集めましょう。
4. 受検対策の具体的な計画を立てる
「いつから、何を、どのように」学習を進めるのか、具体的な計画が不可欠です。
- 学習開始時期の検討: 一般的には小学4年生の後半~5年生から本格的な対策を始める家庭が多いですが、お子様の状況に合わせて調整しましょう。
- 通塾の検討:通塾するかどうかで経済的な負担は大きく変わります。通信教育を中心に合格するケースもあるでしょう。ご家庭の経済状況やお子さんの適正も考慮して、通塾の必要性を検討しましょう
- 年間、月間、週間の学習計画の作成: 目標から逆算し、無理のない範囲で具体的な学習スケジュールを立てます。
- 基礎学力の徹底: 適性検査は思考力が問われますが、その土台となるのは小学校で習う基礎的な知識・技能です。特に国語の読解力、算数の計算力や図形センスは重要です。
- 適性検査対策:
- 過去問の分析と演習を徹底的に行う。
- 記述問題の添削指導を受ける。
- 様々なパターンの問題に触れる。
- 報告書対策: 小学校の授業態度や提出物を丁寧に行い、定期テストで良い成績を収めることも重要です。
計画は定期的に見直し、進捗状況に合わせて柔軟に修正していくことが大切です。
なお、小学6年生まで習い事を続けたいという考えがある方は、Z会の通信教育を活用するという選択も一つです。
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5. 学校説明会、文化祭などに参加する
資料だけでは分からない、学校の「生」の情報を得るために、積極的に足を運びましょう。
- 学校の雰囲気や生徒の様子を直接感じる: 実際に学校を訪れることで、お子様が「この学校に通いたい!」という気持ちを高めることができます。
- 先生や在校生に直接質問する機会: 教育方針や学校生活、入試についてなど、疑問点を直接聞くことができます。
- 複数の学校を比較検討する材料にする: いくつかの学校を見ることで、それぞれの違いが明確になり、お子様に合った学校を選びやすくなります。
文化祭や体育祭などの行事は、生徒たちの活気や学校のカラーをより深く知る良い機会です。
6. 積極的な撤退戦略も考慮に入れる
「後悔」を避けるためには、勇気ある「撤退」も重要な選択肢の一つです。
- 撤退の基準を事前に話し合っておく:
- お子様の心身の負担が大きすぎる(体調不良が続く、精神的に不安定など)。
- どうしても適性検査の点数が伸び悩む、または適性がないと感じる。
- 親子関係が悪化してしまう。
- このような状況になったら、一度立ち止まって受検継続について再考することを事前に決めておきましょう。
- 撤退は「失敗」ではないことを理解する: お子様に合った道を選ぶための賢明な判断であり、決してネガティブなことではありません。
- 地元の公立中学の良さを再認識する: 受検勉強で培った学力や学習習慣は、どの中学に進んでも必ず役立ちます。地元の公立中学でのびのびと過ごし、高校受験で再チャレンジするという道も素晴らしい選択です。
- 「ここまで頑張ったのだから」というサンクコストに囚われない: 投じた時間や費用を惜しんで無理に継続することが、必ずしも良い結果を生むとは限りません。
- 中学受験から切り替えて高校受験の準備を始める:中学受験に向いていなくても、高校受験の方が上手くいく子もたくさんいます。早期から高校受験の準備を始めるという選択もあります。
親子で冷静に状況を判断し、お子様の将来にとって最善の道を選ぶことが何よりも大切です。
7. 合格後のことも想定しておく
合格はゴールではなく、新たなスタートです。入学後の生活を具体的にイメージしておくことも、「こんなはずじゃなかった」という後悔を防ぐために重要です。
- 入学後の学習についていけるか: 授業のスピード、課題の量、求められるレベルなどを事前に調べておきましょう。必要であれば、入学準備講座などを検討するのも良いかもしれません。
- 通学時間や経路の確認: 毎日の通学は想像以上に負担になることがあります。無理なく通える範囲か、体力的に問題ないかを確認しましょう。
- 部活動や友人関係: どのような部活動があり、どのような雰囲気なのか。新しい環境で友人関係を築いていけるか。
- 期待と現実のギャップが生じる可能性も理解しておく: 憧れの学校に入学できても、全てが思い通りにいくとは限りません。困難や課題に直面することもあるという心構えも大切です。
合格後の生活を具体的にイメージすることで、入学準備もスムーズに進み、親子ともに安心して新生活をスタートできるでしょう。
まとめ
都立中高一貫校受検は、お子様の可能性を大きく広げる魅力的な選択肢の一つです。しかし、その道のりは決して平坦ではありません。
- 都立中高一貫校の特性を深く理解する(メリット・デメリット両面)
- お子様の適性と意思を何よりも尊重する
- 親子で十分に話し合い、共通認識を持つ
- 正確な情報を収集し、具体的な計画を立てる
- 経済的な負担も考慮に入れる
- 状況に応じて柔軟に判断し、時には撤退する勇気も持つ
- 合格後の生活まで見据えて準備する
これらの点が非常に重要になります。
都立中高一貫校受検は、親子にとって大きな挑戦であり、成長の機会でもあります。この記事が皆様の「後悔しない」ための受検準備の一助となれば幸いです。
私自身もそうですが、最終的にどの道を選んだとしても、お子様が自分らしく輝ける未来を歩んでいけるよう、温かくサポートしていきましょう。